糖尿病ケアのための医学知識

あけましておめでとうございます

医師 小西

皆様,あけましておめでとうございます.

昨年は糖尿病治療にとってひとつの進歩がありました.それは,前回ブログの記事にしたインクレチン関連薬のひとつであるDPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬が治療に応用できるようになったことです.

これらの薬は,原則的に単独では低血糖を起こさない,体重増加を来たしにくい,膵臓のインスリン分泌細胞(β細胞)を保護する可能性がある,など2型糖尿病患者さんに大いに期待される薬剤です.

さて本日は,すみれ病院での糖尿病治療の基本的な考え方を少しお話ししようと思います.糖尿病の治療は他の病気と異なり,この薬を飲めばそれで治りますというものではありません.患者さんに糖尿病とはどういう病気かを知っていただき,そして患者さんがそれを理解し,納得したうえで,行動(食事療法,運動療法,薬を飲む)を行って初めて治療が上手くいくものです.糖尿病は自己管理の病気といわれる所以ですね.

糖尿病といっても,その病態は患者さんひとりひとり異なります.すなわち,インスリンの分泌が少ない方もいらっしゃれば,肥満等が原因でインスリンの分泌は悪くなくてもインスリンの効き目が悪い方もいます(図).

我々専門医は,まず患者さんの糖尿病の病態を考えます.次に,患者さんの食事療法,運動療法に改善できる余地があるかをチェックします.そして,患者さんが,食事療法を頑張りたいのか,運動を頑張りたいのか,あるいは薬の力を借りて頑張りたいのかを患者さんご本人と相談します.その上で,患者さんひとりひとりにぴったり合った治療方針を決定します.

その治療方針に基づいて,患者さんの自己管理に必要なツール(自己血糖測定,食事,運動メニューなど)を提供します.たとえば,すみれ糖尿病ケアのホームページ上には当院の管理栄養士が食事療法の一助になるように考えた「糖尿病ケアのための料理教室」を公開しています.

では,今年もよろしくお願い申し上げます.

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