糖尿病ケアのための医学知識

メタボリックシンドローム

医師 小西

皆さん,こんにちは.今回は近年流行の「メタボリックシンドローム」についてお話します.「メタボリックシンドローム」は,"太っていればメタボ"と太っている人の代名詞のように使われることが多いですが,実は見た目だけの問題ではありません.メタボの状態があなたにとって深刻な問題なのです.つまり心臓病や脳卒中などの動脈硬化を引き起こすのです.

動脈硬化の危険因子といえばコレステロールがあげられますが,最近の研究で,肥満(特に内臓のまわりに付着した内臓脂肪型肥満)が肥満症や高血圧,糖尿病,脂質異常症などの生活習慣病を引き起こし,より動脈硬化になりやすいことがわかってきました.このように,内臓脂肪の蓄積によって,さまざまな病気が引き起こされやすくなった状態を「メタボリックシンドローム」といいます.

「メタボリックシンドローム」の人は,動脈硬化の危険因子である肥満症,高血圧,糖尿病,脂質異常症を重複して発症していることがあります.最近,これらの危険因子の重複により動脈硬化のリスクがより高くなることがわかってきました.それぞれの危険因子が軽症であってもこれら危険因子を2つ持つ人はまったく持たない人に比べ,心臓病の発症リスクが10倍に,3~4つ併せ持つ人では実に31倍にもなると報告されています.たとえ異常の程度は軽くても危険因子が重複しているケースでは,動脈硬化が起きやすいのです.

では,内臓脂肪が蓄積しているか,どうすればわかるのでしょうか?外見ではわかりにくいことがあります.簡単にはおへその部位でウエスト径を測ります.男性では85cm,女性では90cm以上で内臓脂肪の蓄積が疑われます.正確にはおへその部位でのCT検査を行い内臓脂肪の面積を測定し判断します.

動脈硬化は進行しないと症状として現れません.しかも動脈硬化による循環器疾患は働き盛りに突然発症することが多く,生命に関わり後遺症も深刻です.「メタボリックシンドローム」を放置しておくと,やがては動脈硬化を引き起こします.動脈硬化にならないために,「メタボリックシンドローム」の改善を図ることが大切です.あなたもメタボではありませんか?でも大丈夫です.敵(メタボ)を知って対策を立てましょう.次回は,内臓脂肪がたまるとなぜ悪いか,その秘密に迫ります.

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