糖尿病療養院指指導士のつぶやき
糖尿病理解度テストについて
糖尿病療養指導士・看護師 中村
皆さん、こんにちは。
糖尿病療養指導士・看護師の中村です。
今日は、「糖尿病理解度テスト」についてご紹介したいと思います。
ご存知のように、糖尿病の治療で最も大切なことは、患者さん自身が糖尿病を理解し、自分で糖尿病の管理(自己管理)が出来るようになることです。
そのために、すみれ病院では私たち糖尿病療養指導士が患者さんの自己管理のお手伝いをしています。
すみれ病院では、患者さんに自己管理の方法を身につけていただくために糖尿病教育入院を行っています。
入院中に、患者さんの自己管理に役立つ糖尿病の知識や療養上のポイントなどを、私達と一緒に勉強します。
糖尿病とは・糖尿病の自己管理に必要な検査・合併症予防のために必要な知識・低血糖を起こさないためのポイントや起こしてしまった場合の対処法・調子の悪い時、いわゆるシックデイ時にどうすればよいか・フットケアの実際等を学んでいただきます。
そして、退院時に「糖尿病理解度テスト」で知識のまとめを行います。
「テスト」というとびっくりされるかもしれませんが、ご自身の知識の整理に役立てていただいています。
その一例を挙げてみますので、皆さんもチャレンジしてみてください。
1 糖尿病の3大合併症は、何ですか。
・ 眼の網膜に起こり失明の原因となる。・・・( )
・ 人工透析の原因となる。・・・( )
・ 足の痺れ 感覚が鈍くなる。・・・( )
2 正しいものに○をつけてください。
・糖尿病の合併症のうち糖尿病予備群の段階からより注意が必要なのは、どちらですか。
ア 細小血管障害
イ 大血管障害
・心筋梗塞や脳梗塞の起きやすさとより関係があるのは、どちらですか。
ア 空腹時の血糖値
イ 食後の血糖値
・運動を続けているとわりと早く減ってくるのは、どちらですか。
ア 皮下脂肪
イ 内臓脂肪
さて答えは、
・網膜症・腎症・神経障害
です。
血糖値が悪い状態を放置しておくと糖尿病の合併症が起こります。糖尿病には様々な合併症がありますが、とくに糖尿病に特有な細小血管障害(3大合併症)と大血管障害(動脈硬化症)が重要です。
細小血管障害は全身の小さな血管に傷害をきたします。眼の網膜の血管や腎臓の細い血管、そして全身の神経線維も傷んできます。
糖尿病の合併症を早期に発見するために、眼科への受診や、尿の検査、神経の検査などが必要なのですね。
2 ・ イ
細小血管障害は、糖尿病特有の合併症です。血糖のコントロールが悪いほど、糖尿病の罹病期間(糖尿病と診断されたからの期間)が長いほど細小血管障害は出やすくなります。
HbA1cを7%未満に保つようにすると細小血管障害は出てきにくくなると言われていますね。
一方の大血管障害(動脈硬化症)は、糖尿病と診断される以前の予備軍の段階から進行すると考えられています。
心筋梗塞 脳卒中などの大血管障害は症状もなく進行し、一度起こると生命に関わる合併症なので注意が必要です。
・イ
動脈硬化の進行とより深い関係があるのは、食後高血糖です。
ですから食後の血糖値の上昇を出来るだけ緩やかにすることが大事なのです。食事では、まず野菜から食べ、次におかず、最後にご飯とします。
食後に運動を行う、などの日常生活のちょっとした工夫で食後の血糖値の上昇を抑えられます。
・イ
最近の研究では、おなかの中の腸の周りに溜まる内臓脂肪が糖尿病や動脈硬化を引き起こすことが、わかってきました。
内臓脂肪は、皮下脂肪より溜まりやすいのですが、運動で減りやすいと言う特徴があります。
糖尿病や動脈硬化の予防や治療に運動療法が大切ということですね。
皆さん、いかがでしたか?ガ
教育入院をされた患者さんが退院される時に、 入院して「ちょっとでも勉強できた、役に立った」と思って貰えるように努力したいと思います。